在宅で要介護者を抱える家族が最もつらいと感じることを、優先順位ごとに整理し、その理由と対策を明確にしてみました。
孤独感・社会からの孤立
【理由】
- 介護が生活の中心になり、外出や社会とのつながりが減少する
- 家族や友人に気軽に相談できない。またはしにくい。
- 「自分だけが頑張っている」という思いに陥りやすい。
【対策】
- 介護者向けのサポートやグループ、行政が行う地域の説明会(相談会)や、オンラインコミュニティに積極的に参加してみる。
- 定期的に友人や家族と連絡をとる。実際に会うのが困難な時は電話やSNSを活用し、気持ちを吐露する。
- 介護サービスを利用し、できるだけ自分の時間を確保する。
介護による肉体的負担
【理由】
- 介護が長期にわたり、疲労が蓄積する。
- 夜間の対応や排泄介助などの負担が大きい。
- 認知症などによる暴言・暴力がストレスを大きくしてしまう。
【対策】
- 介護保険サービスを活用し、プロの介護者と介護を分担する。
- 自分の体調管理を意識し、少しの時間でも横になるなど休息をとるようにする。
- 専門家(医師・ケアマネジャー・心理カウンセラーなど)に相談する。明確な答えは出なくとも、話しを聞いてもらうことで気持ちが軽くなるものです。
経済的な負担
【理由】
- 介護にかかる費用(医療費・介護用品・介護サービス費・施設利用費など)が高額になる。
- 仕事を減らしたり、辞めざるを得ない状況になると収入が減少し生活の不安が生じる。
【対策】
- 介護保険制度をフル活用し、補助金や助成制度を調べる。
- 在宅ワークや時短勤務などで収入を維持できる方法を探す。
- 家族や親族に相談し、援助や支援で負担を分担し、ひとりで背負い込まない。
先の見えない不安
【理由】
- いつまで介護が続くかわからない。
- 要介護者(家族)の病状が悪化するたびに精神的ショックを受ける。
- 自分の将来(仕事や老後)を考える余裕がなくなる。
【対策】
- ケアマネジャーと相談し、長期的な介護プランを立てる。
- 介護が重度になった時の施設やサービスを事前に調査しておく。(必ずしも最後まで在宅でと考えず、限界と判断したら施設入所を検討する)
- 趣味やリラックスできる時間を意識的に確保し、常にストレス軽減を図る。

兄弟姉妹・親族との対立
【理由】
- 介護の負担が一人に偏ることで不公平感が生まれ、関係性がこじれていく。
- 介護方針について意見が食い違うと対立が生じてしまい、さらに孤独な介護状態に陥ってしまう。
【対策】
- 親族に協力を仰ぎ、家族会議を開いて現状の負担を理解してもらい、それぞれの役割や負担の分担を十分に話し合う機会を持つ。
- 必要なら第三者(行政機関・ケアマネジャー・カウンセラーなど)を交えて調整する。
- 無理に説得しようとせず、できる範囲で協力を求めるところからはじめる。
要介護者(家族)との関係が悪化することへの罪悪感
【理由】
- 介護が辛くなり、要介護者にイライラしてしまう。
- 「本当は優しくしたいのに出来ない」など自己嫌悪に陥る。
【対策】
- 完璧な介護を目指さず「出来る範囲で頑張る」ことを意識する。
- 第三者(ケアマネジャーやカウンセラー、介護士など)に話を聞いてもらい、気持ちを整理する。
- 介護の時間と自分の時間を明確に分け、ストレスを減らす。
まとめ
在宅介護は精神的、肉体的、経済的に大きな負担がかかります。しかし、介護保険サービスの活用や家族や周囲との協力、心理的なケアの工夫で負担を軽減することが可能です。
決して一人で抱え込まず、声を出して少しずつでも周りに支援を求めていきましょう。