介護保険サービスの種類と費用負担を軽くする制度|元支援専門員が解説

介護の知恵
*本サイトには広告が含まれます

この記事でわかること

  • 介護保険サービスを利用するための条件と手順
  • 在宅・通所・短期入所など各サービスの特徴と違い
  • 費用負担を軽減できる4つの公的制度

この記事は、介護保険と障がい福祉の相談業務に30年携わった元支援専門員が、実務経験をもとに解説しています。

介護保険を使うには、どんな条件が必要ですか?

介護保険サービスを利用するには、次の2つの条件のいずれかを満たし、要支援・要介護認定を受けることが必要です。

40〜64歳で、以下の特定疾病を患っている方

65歳以上の方

※特定疾病1.がん[がん末期]2.関節リウマチ3.筋萎縮性側索硬化症[ALS]4.後縦靱帯骨化症5.骨折を伴う骨粗鬆症6.初老期における認知症7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病[パーキンソン病関連疾患]8.脊髄小脳変性症9.脊柱管狭窄症10.早老症[ウェルナー症候群]11.多系統萎縮症12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症13.脳血管疾患14.閉塞性動脈硬化症15.慢性閉塞性肺疾患16.両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

👉 申請の手順や認定の受け方は別記事をご参照ください。
介護保険申請までの手順
要介護認定の受け方のヒント

介護保険サービスにはどんな種類がありますか?

介護保険サービスは大きく「在宅系」「通所系」「短期入所系」「福祉用具・住宅改修」に分かれます。

居宅介護支援(ケアマネジャー)|最初に相談すべき窓口

在宅で介護保険を使うなら、まずケアマネジャーに相談することが出発点です。

ケアプランの作成から、サービスの調整・悩み相談まで対応します。担当ケアマネの質は、その後の介護生活の質に直結します。孤独になりがちな在宅介護において、信頼できるケアマネジャーの存在は、家族の心身の余裕を生み、介護継続の大きな力になります。

はじめての方は、お住まいの地域の「地域包括支援センター」へ相談することをおすすめします。

訪問介護(ホームヘルパー)|自宅での生活を支えるサービス

定期的な訪問により、認知機能や生活機能の維持が期待できます。また、家族の負担軽減(レスパイト)としても有効に活用できます。なお、医療行為はできませんが、医療機関と連携したチェックは行います。

訪問看護|医療的なケアが必要な方へ

看護師や理学療法士などが自宅を訪問し、医師の指示のもと医療的サポートを行うサービスです。

体温・脈拍の測定、点滴・注射の処置、褥瘡ケア、簡易リハビリなどに対応します。疾患のある方には欠かせないサービスですが、利用には医師の指示書が必要です。

訪問リハビリテーション|機能の向上・維持を目指したい方へ

作業療法士や理学療法士などのリハビリ専門職が自宅を訪問し、個別の機能訓練を行うサービスです。

運動機能の訓練だけでなく、歯科医師と連携した口腔機能改善(誤嚥予防)にも対応できます。

24時間対応が必要な方へ|定期巡回 vs 夜間対応型、どちらを選ぶ?

項目定期巡回・随時対応型訪問介護/看護夜間対応型訪問介護
サービス時間24時間対応夜間のみ(例:18時〜8時)
巡回形態定期訪問随時対応
・ナースの看護あり
定時訪問(見守り)
緊急時の対応
緊急時随時コール対応
(必要に応じて訪問する)
夜間のコール対応
必要時の訪問
医療ケア看護職員訪問
(必要に応じて)
介護職員のみ
対象者ひとり暮らしの高齢者
介護度が重めの方
夜間に不安がある方
見守りが必要な方

定期巡回は、平均10分〜20分の短時間の滞在時間で1日に複数回訪問します。1回の訪問滞在時間、1日の訪問回数は決められていません。また、24時間体制が整っており、緊急時・夜間・早朝の対応も可能です。

一方、訪問介護のサービス提供時間は最低でも30分以上は必要となります。訪問介護も状況によっては、1日に複数回利用が可能ですが、「2時間ルール」という制度(介護保険の不正防止目的で導入されたルール)があって、サービス利用の間隔を原則2時間以上空けないと、認められません。

👉どちらも地域密着型サービスのため、事業所と同じ地域に住所が必要です。通常の訪問介護と異なり、地域外の方は利用できません。

料金設定も、訪問介護の場合は一回ごとの料金で、利用した分のみになりますが、上記二種のサービスについては月単位の料金となります。

どちらが適切かは、医療職・専門職とよく相談してください。

居宅療養管理指導|往診との違いは?

医師や看護師が定期的に自宅を訪問し、健康診断や療養指導を行うサービスです。

「往診」は必要なときだけ訪問しますが、居宅療養管理指導は定期的に訪問する点が違います。体力が低下した方や、外出が難しい方におすすめです。

通所サービス|デイサービスとデイケア、何が違う?

どちらも施設に通うサービスですが、目的が異なります。

目的向いているサービス
認知症予防・他者との交流・気持ちの活性化デイサービス(福祉系)
リハビリ・運動機能の維持向上デイケア(医療系)

地域密着型通所介護(小規模デイサービス)は定員18名以下で、濃密なケアを受けられます。認知症対応型通所介護は認知症専門のスタッフによる対応で、重度の方にも適しています。どちらも地域密着型のため、同じ地区に住所が必要です。

短期入所(ショートステイ)|家族の休息にも使えます

普段は在宅介護をしている方が、一時的に施設に泊まれるサービスです。

家族のレスパイト(休息)目的でも利用でき、原則として理由は問いません。連続利用は30日が上限で、31日目以降は自費または市町村の独自サービスを活用する方法があります。

医療的ケアが必要な方には医療型ショートステイがあり、介護老人保健施設などで医師・看護師のもと療養できます。ただし、利用中は外部病院の受診がしにくくなるため、処方薬のことなど事前に確認が必要です。

福祉用具のレンタル・購入|保険が使えるものは?

介護に必要な福祉用具は、介護保険でレンタル・購入ができます。

レンタルできる主な用具

  • 車いす
  • 車いす付属品
  • 床ずれ防止用具
  • 手すり
  • 歩行器
  • 認知症老人徘徊感知機器
  • 移動用リフト(つり具の部分を除く)
  • 自動排泄処理装置
  • 特殊寝台(電動ベッド)
  • 特殊寝台(電動ベッド)の付属品
  • 体位変換器
  • スロープ
  • 歩行補助つえ

購入できる主な用具

  • 腰掛便座
  • 自動排泄処理装置の交換可能部
  • 入浴補助用具
  • 簡易浴槽
  • 移動用リフトのつり具の部分 など

 👉保険適用の用具は厚生労働省が定めており、要介護度によって制限があるものもあります。必ずケアマネジャーに確認しましょう。

住宅改修|どんな工事に保険が使えますか?

介護が必要になった人にとってケガをするリスクがある個所については、保険適用で改修が可能です。段差や滑りやすい床などリフォームによってリスクを最小限にすることが重要です。申請については専門職が代行してくれますので、上限額を含め気になるところはまずはケアマネジャーに相談してください。

  • 手すりの取り付け
  • 段差の解消
  • 滑りの防止および移動の円滑化などのための床、または通路面の材料の変更
  • 引き戸等への扉の取替え
  • 洋式便器等への便器の取替え
  • 上記の住宅改修に付帯して必要な住宅改修など

介護保険の費用負担を軽くする制度は何がありますか?

介護保険には、費用負担を軽減する4つの公的制度があります。具体的な金額や条件はお住まいの地域によって異なるため、必ず住居地の介護保険課の窓口で確認してください。

① 高額介護サービス費|月々の負担に上限があります

月々の介護サービスの定率負担(1割~3割)の合計額について、所得に応じて設定された上限額を超えた場合に、申請により超えた額が支給される制度です。

世帯単位および個人単位で設定されている、高額介護サービス費での1ヶ月の利用者負担上限額を超えた場合に、その超える額が高額介護サービス費として保険給付が行われます。
申請先:国保の場合は市町村の窓口、社保の場合は各健保組合・協会けんぽ

② 高額医療・高額介護合算療養費制度|医療と介護の両方を使っている方へ

医療保険と介護保険の両方を利用している世帯が対象で、年間の合計自己負担額が上限を超えた場合に超えた分が支給されます。
対象期間は、8月1日から翌年7月31日。

国保は市町村の窓口、社保は各健保組合・協会けんぽで申請します。一度申請すれば毎年する必要はありません。

尚、マイナンバーカードで介護保険に登録及び医療機関をマイナカードで受診している場合は申請の必要はありません。
詳細は住居地の介護保険課の窓口で確認するようにしてください。

③ 特定入所者介護サービス費|施設入所時の食費・居住費を軽減

市民税世帯非課税の方が介護保険施設に入所・短期入所した場合、食費と居住費の自己負担が軽減される制度です。

●介護保険負担限度額認定申請書
●預貯金等の額を確認できる書類(本人及び配偶者の預金通帳、有価証券等の写し)
●同意書

を用意して、介護保険課の窓口で申請します。

利用者負担段階の目安

段階対象者預貯金等の状況
第1段階生活保護受給者、老齢福祉年金受給者で世帯全員(世帯を分離している配偶者を含む)が市民税非課税の方で、本人及び配偶者の預貯金等が一定以下の方単身:1,000万円以下夫婦:2,000万円以下
第2段階世帯全員(世帯を分離している配偶者を含)が
市民税非課税の方で、
本人及び配偶者の
預貯金等が一定以下の方
合計所得金額+課税年金収入額+非課税年金額の年額が80万円以下の方単身:650万円以下夫婦:1,650万円以下
第3段階(1)合計所得金額+課税年金収入額+非課税年金額の年額が80万円超120万円以下の方単身:550万円以下夫婦:1,550万円以下
第3段階(2)合計所得金額+課税年金収入額+非課税年金額の年額が120万円超の方単身:500万円以下夫婦:1,500万円以下

対象施設:
 ●介護福祉施設サービス(特別養護老人ホーム)
 ●介護保健施設サービス(介護老人保健施設)
 ●介護医療院サービス(介護医療院)
 ●短期入所生活介護(ショートステイ)

④ 社会福祉法人による利用者負担軽減制度|低所得の方向け

低所得で生計が困難な方や生活保護受給者が、社会福祉法人のサービスを利用する際に、定率負担・食費・居住費のすべてが軽減される制度です。

他の制度と違い、3種類の負担すべてをカバーできる点が特徴です。ただし、対象は社会福祉法人が運営する福祉系施設のみ(医療系施設は対象外)。申請は事業者からの申し出を経て、市町村が軽減を決定します 

まとめ|介護保険サービスを上手に活用するために

介護保険サービスは種類が多く、組み合わせ次第で在宅介護の負担を大きく減らせます。

迷ったときの相談先

  • サービスの選び方・組み合わせ → ケアマネジャー
  • 費用負担の軽減制度 → 地域の介護保険課の窓口
  • はじめての相談 → 地域包括支援センター

在宅介護では主介護者(家族)に負担が集中しがちです。「まだ大丈夫」と思っているうちから、介護保険サービスを上手に取り入れて、心身の余裕を保つことが長続きする介護の秘訣です。