介護保険制度下のサービスには決まりごとが多くあります。
とくにホームヘルパーの援助内容はわかりにくく、利用者側と事業者側でトラブルになることも多くあります。
ですが、うまく利用することで訪問介護の援助ほど、利用価値があるサービスはないでしょう。
使い方によっては、生活の隙間に行き届いたサービスが可能なのです。家族介護の軽減のために大きく貢献してくれるでしょう。
「あれもしてくれない、これもしてくれない」「時間が短くて役に立たない」「あの人は何もできない」などぼやく前に、訪問介護サービスを理解して、公的サービスと自費サービスを上手に組み合わせて快適な生活を作りましょう。
おそらくホームヘルパーさんも、必要なことが決まりによってできないジレンマを感じているものです。何より介護のプロですから、在宅で日常生活の援助を行うヘルパーさんは、誰よりも利用者のニーズを理解しているものです。
そのためには訪問介護のしくみを知ることが大切です。
訪問介護で出来ること出来ないこと
基本的にホームヘルパーはケアプランに記載された内容以外を行うことはできません。
プランに設定した支援内容が現状に合わなかったり、過不足がある場合にはケアプランの修正を図り実生活に必要な内容に変更する必要があります。
数回のモニタリングでケアマネジャーがその利用者の日常すべてを把握することは不可能です。毎回訪問するヘルパーにより、生活のニーズが発見されることは多くあります。
そうすると、ヘルパーは事業所のサービス提供責任者を通して、ケアマネジャーに提案をします。ケアマネジャーが、その内容に検討の必要ありと判断したら、本人家族の同意のもと関係事業者を利用者宅に集めてケア会議(サービス担当者会議)を開催することになります。
そこで全員一致で必要となれば、ケアプランの内容が、現実のニーズに沿ったものに更新されていきます。
介護保険外サービスは自由に利用できる
利用者の急変や緊急の状態が発生し、その状態が一時的でなく今後継続すると判断される場合には、ケアマネジャーは上記の手続きを短縮し、すみやかに関係者と連携の上プランを発行します。
ただしその場合は直接ではなくとも、このままだと生命に危険を及ぼすなどの緊急を要する場合です。
たとえば、同居家族に急用ができたなどで、利用者を放置することができないなどという一時的な理由は、ケアプランを変更する理由になりません。
その場合は、ケアプランによる一時的なサービス(ショートステイなど)を利用したり、親戚や知人などが交代対応できれば良いのですが、誰も頼れる人がいない時など、介護保険外サービスを利用することが良いでしょう。
自費サービスとよばれる部分ですが、これは時間やサービス内容の制限がありません。すべて、利用者側と事業者との合意で行われるため、使いやすいサービスですが費用は100%実費となります。
介護保険外サービスはどこに頼む?
介護保険外サービス事業者は、最近では多く見られるようになりました。独立の事業者も出てきましたが、介護保険サービスを正規で行っている訪問介護事業者が外部サービス部門を持っているところが望ましいでしょう。
そういうところは、往々にして「自社の利用者は格安料金」としているところが多いからです。
それに、普段訪問してくれているホームヘルパーさんが、そのまま自費分として延長サービスをしてくれることが多いので、利用者としてはうれしいことでしょうし、家族としても、いつもお世話になっている顔なじみのヘルパーのほうが安心に違いありません。
もし何かの折に、自費サービスを頼むかもしれないという方は、訪問介護を依頼する際に、介護保険外サービスに対応しているかどうかを確認しておくと良いでしょう。
いまでは、通常の介護保険サービスに毎回30分プラスして、介護保険では出来ないことをしてもらったり、足りない時間を補うなど、自費サービスを上手に取り入れて、生活の満足につながる使い方をする人が増えています。
参考:ホームヘルパーがやってはいけないこと
- 異常な爪の爪切り
- 耳内部の掃除
- 重度の歯周病の口腔ケア
- 内服薬の管理やインスリン注射
- 傷の処置
- 摘便
- パウチの取り換え
- 自己導尿
- 血糖測定
- 経管栄養(有研修者のみ)
- 痰吸引(有研修者のみ)
- 通院時の受診待ちや時間中の付き添い
- 自家用車への同乗や送迎
- 本人以外の調理や家事
- 庭木の手入れや花の水やり
- ベランダ掃除
- ペットの世話
- 窓ふきや換気扇の掃除等日常でないもの
- 引っ越し準備や家具の移動など日常必要でないもの
- 指定された買物(店を限定、嗜好品、来客用や歳暮品など)
- 散歩(理由によって、ケアプランに位置付けることは可能)
- 美容院などの同行
- 墓参、法事などの同行
- 銀行やATMの代行
- 話し相手
行政により異なる場合がありますので、詳細は担当のケアマネジャーにご相談ください。