容体が急変したり、そこまでなくともいつもとなんか様子が違う、と感じたご家族は不安なもの。すがる思いで「ケアプラン事業所に電話をしても誰も出てくれない」とサービス事業所に泣きつかれます。とくに該当プランでサービスを行っている事業者にしたら、大事な判断を仰ぐ緊急時に、ケアマネジャーに連絡がつかないというのは大変困ってしまいます。
時間外に機能しないケアマネジャー
事業所開設の折には必ず緊急電話の登録が必要とされているはずですが、時間帯によってはこれが全く機能しない事業所があります。
重度の認知症を抱えた家族を在宅で介護されている家族は、四六時中気の休まるときはありません。 被介護者の家族が、夕方から不穏になり次第に状態が悪化し、夜間に激しい症状を呈してしまうのはありがちなこと。
そんな時、もっと早く連絡してくれたらなどと思うのはこちらの都合であって、先様は「こんな時間に電話をしたら迷惑になるのでは」
「もう少し様子を見たらおさまるかも」との気持ちの葛藤の中で症状を悪化させてしまうものです。
半ばパニックに陥って電話をしてこられる家族は「どうしたらよいでしょう」とオロオロされています。 担当ケアマネジャーに電話をしても留守番電話に切り替わり、「担当ではないのでわかりません。戻ったら連絡させます」との対応だとどうでしょう。
利用者様の気持ちは十分察するに余りあります。
そういう時どうなるかというと、昼夜かまわずサービス事業所の出番になるのです。
担当のケアマネジャーが居たとしても「じゃあ、サービス事業所さんにいってもらいますね」などと振ってくるケアマネジャーが居るのも現状です。
ケアマネジャーの本業とは
たしかに今のケアマネさんは一昔前と違って多忙です。まして主任ケアマネとなると、仕事内容が多岐に渡り一層大変なのはよくわかります。 ですが、忙しい理由であなたは自らケアマネジャーの職を選んだ理由とプライドを捨てるべきではありません。
少なくとも緊急の場合に対応できる共通認識だけは全員が把握できるよう、先頭きって指揮をとるべきではないでしょうか。そうでないと、サービス事業所は勝手に動けないのです。
なかには、全部丸投げしてあとは連絡待ち。事業者の報告を詳細にきいて「ありがとう、そのまま記録させてもらうから」と言うケアマネジャーがいるのには閉口します。
きちんと自分の責任を果たして対応しているケアマネさんが多い中で、そういう方がいると全ケアマネの地位を落としかねません。往々にしてそういう方は「上から目線」な態度が目立ちます。
それでもサービス事業所は営業スマイルを欠かさない
そういうケアマネさんは、得てして四六時中連絡がとれ、フットワーク軽く動いてくれるサービス事業所(自分の都合よく動いてくれるところ)と連携を持とうとします。
結局、負担はほぼ事業所が受け持つことになります。 ケアマネとしては自分に負荷がかからないよう、いつどんな時間でも連携が取れる事業所とタイアップしているのではと思ってしまいます。
事業所選びは利用者さん主体とはたてまえのみ。現状は、ほぼケアマネの趣向でサービス事業所が決定されていることになり、事業者としたら強引なことも不都合なことも、できる限りググっと腹に飲み込んで、ケアマネさんのご機嫌をそこなわないようにする構図が出来上がります。
ケアマネさんのなかには、ペーペーのスタッフでは交渉できないとばかり、経営者に話をつなぎ、自分の都合を強要する人もいるとか。サービス事業者もなかなかストレスが溜まります。
利用者さんも最近は心得ていて、緊急時はケアマネジャーを通り越して、直接事業者のスタッフに電話を入れてしまうことになります。原則には順不同のルール違反ですが、それは一概に利用者さんを責められません。
これだけサービス事業所が増えた昨今、新規の利用者がケアマネジャーから降ってくる構図がある限り、事業者の姿勢はどうしても低くなるからです。
利用者さんにとってのケアマネジャーの存在価値とは
ケアマネジャーが全部を抱え込めというのではありませんが、そういうときこそ日頃の信頼関係が表にでる場面ではないでしょうか。
普段から型通りの訪問のみだったり、もしくは月に一回の訪問も出来ていなかったり、ご用聞きのような心のない訪問になったりしていることを一番知っているのは、実はサービス事業所のスタッフなのです。
利用者さんがとっさの時、一番に頭に浮かぶ人。私たちが一目置ける人がケアマネジャーであってほしいと思います。
ひと昔前のように時間の許す限り丁寧な対応ができた時代ではもうありません。昨今の社会事情により限界を超える多忙を極めたケアマネ業務の結果だとしても
「それはケアマネ業務外です」と切り分けることがプロの仕事と考え違いをしてはいないでしょうか。
営業時間外は対応者がおらず、事業所スタッフさんからの事後報告を受けることになんら抵抗が無くなっているケアマネジャーが増えていかないことを祈ります。
少なくとも、利用者さんにとって担当ケアマネさんは、昔も今も居るだけで安心感を持ってもらえる存在でいてほしいものです。
